2012年12月25日火曜日

生殖技術を行なった医療行側の胎児情報の利用

次から次へと開発される不妊治療用新技術。そのうち日本では、「同じ血をわけだ子どもを欲しがる」社会的傾向が強い。女性たちも、その傾向に激しくゆさぶられている。したがって、新技術の試行を希望する女性も多い。私は、医療新技術を頭から否定してはいない。しかし、不妊女性に行なわれる不妊治療という名の生殖技術は、まだまだ不明部分が多く、まるで「人体実験」ではないかと危惧され、本当に大丈夫かと心配になるからだ。しかも、女性たちは不妊だとされると、新技術に対してお金を払い、身体を提供せざるを得ないような、つまり不妊治療希望者にならざるを得ないような気持ちにさせられてしまう。

マスコミ報道による革々しい成功例も、不妊女性を追いつめる。これでは不妊かもしれないと感じたら、本当にこのような不妊枝術を受けようかどうしようかと、きちんと自分の心の中を整理するひまもない。また胎児情報は、現在では、ハイテク技術によって以前と比べものにならないくらい豊富に収集できる。胎児情報を親となる二人がどのように選択するかは非常に難しい問題だから、別の機会に改めて論じたい。

ここでは当事者の親ではなく、生殖技術を行なった医療行側の胎児情報の利用に目を向けたい。それは高度の生殖医療技術でやっとやどった生命もおかしい?と思われれば、消されてしまう可能性が強いからである。(体外受精を受けた)ルイーズちゃんのは親のブウンさんは、ステスワトウ博士とエドワード博士にそうすべきだと判断した時は、人に中絶を受けると同意した文章までかかされたからだ。何よりも私は、自然の節理を踏み越えて道行する人為的介入には、大きな危惧を持っている。もっと公開の場できちんと議論して、そのすばらしさや危険性を考えるべきだと切望している。

これまで述べた方法を、すべて試みてもなお妊娠しなかった時、最後の切り札として登場したのが「代理け」である。(代理出産仁NHK、一九九〇年九月二日放映)では、アメリカにおける代理母ビジネスの現状と問題点、さらには日本への上陸の可能性などがリポートされ、大変衝撃的だった。この方法は、つまり今までに開発された不妊治療法を、了どもをのぞむ夫婦が他の第三者の女性の身体を借りて行なうものである。

「代理母」の方法には一一通りある。一つは、夫の精子には問題はないが、妻の方に問題がある場合で他の女性の子宮に夫の精子を人工授精して、妊娠し、出産してもらう方法である。この方法では、代理母の遺伝子が赤ちゃんに伝わる。一九L六年から、アメリカで行なわれているという。もう一つの方法は夫婦の精子と卵子を体外受精し、その受精卵を第三者の女性に移し、妊娠、出産してもらう方法である。妻の卵管や子宮に問題があって妊娠出産ができない場合に行なわれる。

この場合は依頼人夫婦の遺伝子を引きついでおり、金髪の白人女性が、日本人の特徴を持つた赤ちゃんを産むこともできる。いま、日本人に注目されているのはこちらの方法である。もちろん、どちらの場合も依頼人は代理けに報酬(約一万ドル、もちろん仲介業者などへの支払い料金は別)を支払い、赤ちゃんは依頼人夫婦のものとなる。「代理出産」をみた時、「この放映によって日本人の不妊夫婦がアメリカにまで行って子作りするようになるんだろうか」と深い溜息がでた。現在、日本ではこの方法は行なえないからだ。日本産科婦人科学会の「見解によれば、体外受精は正式の夫婦に限り、受精卵はその妻に返すと定められている。

2012年9月3日月曜日

自殺は絶望からとはかぎらない

おなじ状態の嘆きをシルダーがみたある娘はまるで別の情緒的なことばでこう訴えた。「私はもう自分でなくなってしまいました。今までの自分というものを、私はあらんかぎりの絶望的な努力でよびもどそうとしました。けれどむだでした。今までの自分はまるで切りはなされてしまったのです。私はまたはじめからやりなおさなければならない全生涯を、私は人生からはずれてわきにいるのです。第二の人間です。人生にまるでかかおりかなくて、まるでボヤソとして、おそろしくうっちゃり放しで。以前の人生は眠りこんでしまったのです」。

自分と世界か切りはなされてしまったという感じ、それは前にのべたように絶対の孤独であり、そして絶対の孤独もまた絶望の一つである。悲哀の道をとおっていきついた絶望が、自分の側から世界と自分のつながりを断ってしまったのと逆に、孤独感の方からいきついた絶望の方はまわりの世界の側からつながりの糸を切られてしまっている。

絶望の最後の場面、それは文字どおりの自己否定にほかならない。つまり自殺である。こうひとことですませておいてもかまわないのだが、念のために少々つけ加えておくと、自殺にはからだの自殺と心の自殺と区別しておいた方がよいのかもしれない。からだの自殺には別に蛇足を加えぬとして、心の自殺の方もこれにおとらない重大事だといいそえておきたい。つまり人間は絶望を媒介として回生できるということ、精神的に一度本当に死ぬことをとおって。前の人間とは別の、第二の人間に生まれかわるということである。

そういえば自殺は絶望からとはかぎらないこともつけ加えておこう。それには一つの例をI情死という例をあげるだけにとどめたいが、ほかにもいろいろあることは多少考えをめぐらせば思いつくことである。たとえば、演出自殺、あてつけ自殺、意志的自殺など。ところで情死をとげるまでには、社会、ことに「家」の制約がつよいことが大切な囚子となっているのはいうまでもないが、ここではふれぬことにして、純粋に心理的に考えていこう。

情死のもとである恋愛の陶酔は、つねに現在的な瞬時性をになっており、将来への洞察や企図性を欠いている。愛の法悦ではもとめあう二つの魂と魂は無言の5ちにとけあい、外界は没し、時空のない境地がひらける。けれども情緒ははげしければはげしいだけはかなくうすれていくもので、これは人間一般に宿命的でどうにもならない。

しかも恋の心は激情を恒常化しようとし、情緒のはかなさを否定しようとする。そうするためには生命自体を否定し、法悦のなかで生を断つよりしかたかない。この意味ですべて恋愛的情緒は生命否定的といえ、太古からこの方、無数の二人同志がつねに一つのことばをもらしてきた。

「ああこのまま死んでしまえたら」という嘆息である。健全な人々にとっては、これはしかし二人の間だけの心のやりとりとして、そとにはなんの跡ものこさずにすぎ去ってしまう。ただ一瞬のうちに燃えあがれる衝動力をそなえて生まれついた特殊の人たちだけが、そとにみえる情死をとったのである。

2012年8月1日水曜日

民主党と共和党に代表される二つの考え方

公民権法を制定して黒人差別を廃止しようとしたのはケネディだったが、実際にこれが現実のものとなったのはケネディの死後であった。あるいは「貧困に対する戦い」と称して、国内の貧困対策や住宅問題に連邦政府のしベルでのり出しだのはジョンソン大統領である。

ジョンソンはみずからの一連の大型の社会政策を指して「偉大な社会計画」と称した。 政府はどこまで介入すべきか 民主党の掲げる政策ぱ、連邦政府を動かして社会や経済の制度に手を加えて企業の影響力を制限し、勤労者や農民の立場を強化するというところにその特徴がある。

共和党は逆に、政府の介入をできるだけ少なくして、自分のことは自分で始末することのできる体制を保持する、という政策を得意とする傾向がある。かつてアイゼンハワー大統領は、このような共和党の立場を肯定的にとらえて次のようにのべている。


民主党の皆さんは、共和党のことを実業界に属する政党というふうにいうが、私はその ことを自慢に思っている。実業界こそは、政府に頼らずにみずからの運命をみずから決めることができる能力を有している。実業界にとって望ましい状況というのは、アメリカにとっても望ましい状況のはずだ。

民主党と共和党に代表される二つの考え方というのは、ウィルソンあるいぱアイゼンハワーのような、政治の世界の頂点にいる人間だけが抱いているのではない。一般の国民のあいだにも似たような意見の分裂があり、むしろ民主党と共和党はその意見を反映しているのだといえる。

一九八〇年代半ばに、ミシガン大学の世論調査研究所が次のような質問を出して国民の動向を探ったことがある。質問のしかたがくどくどと長いのは、単純な「はい」「いいえ」という反応を避け、国民の本音を引っ張り出すための工夫である。


「失業や教育問題、住宅問題など多くの問題に対処するために、連邦政府がもっと多くの政策を実施すべきだという人がいます。あるいは反対に、政府はすでにあまりにも多くのことをやりすぎているという人もいます。総合的に考えた場合、あなたはどう考えますか。政府はちょうど良いくらいの政策を実施していますか、あるいはやり過ぎですか。それともまだ不十分ですか」。

この質問にたいして、みずからを強力な民主党支持者だと考えた人のうち四一パーセントが、いままで以上に政府はもっと多くの政策を実施すべきだとした。みずからを強力な共和党支持者だとした人で同じことを主張したのは、一一パーセントに過ぎない。

つまり民主党に属する人たちのうち半数ちかくは一層の政府の介入を希望し、共和党に属する人たちのなかでは、そのようなことを希望する者は一割程度である。

2012年7月12日木曜日

原油、60ドルは「最低ライン」 OPEC、維持に懸命

「原油価格の大幅な下落は新規油田開発への投資を減速させ、将来的な安定供給に懸念を引き起こす」。石油連盟の天坊昭彦会長が10月24日に出したコメントが、市場で話題を呼んだ。ちょうど、ニューヨーク原油先物相場が1バレル70ドルを割り込んだころだった。

新規に油田を開発する場合、鉱区権益取得費、リグ(掘削装置)、生産機材、人件費などコストは1バレル60ドル程度かかるといわれている。これがオイルサンド(原油成分を含む砂岩)、オイルシェール(原油成分を含む岩石)になると80ドル程度にも膨らむという。ニューヨーク原油先物相場が60―80ドルの水準にないと新規開発の採算が合わなくなるという計算だ。

豊富な埋蔵量を誇る石油輸出国機構(OPEC)は、この採算ラインの下値である60ドルを特に重視する。埋蔵量世界一のサウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相はかつて、「60―70ドルがこれ以上は下がらない最低ライン」と言ってはばからなかった。つまり、OPECにとって60ドルが下値の限界であり、60ドル割れは緊急事態なのだ。

ところが、ニューヨーク原油先物相場は底値がまったく見えない状況。11日には終値で60ドルを下回り、1年8カ月ぶりの安値に落ち込んだ。

OPECは60ドルライン維持に懸命だ。11月から日量150万バレルの減産を実施。サウジアラビアは11月積みから欧米向け供給を10%以上削減、12月積みからはアジア向けも5%前後減らす。減産効果を市場に早く浸透させたいとの思いからだ。

それでも60ドルを割るようなら、OPECが12月の総会で100万バレルの大規模追加減産に踏み切る可能性が高い。60ドル割れはOPECにとってそれほど深刻なのだ。

2012年7月11日水曜日

「作られた米価」行き着く先は

2008年産の新米価格が底堅く推移している。好天で7年ぶりの豊作水準となる一方で、生産コスト上昇を理由にした全国農業協同組合連合会(全農)の値上げが浸透。当初予想されたような値下がりは回避している。

「ほんの少しの価格引き上げが日本の稲作・水田を守ることにつながることをご理解いただきたく」。全農は今夏、肥料や燃料などの価格上昇に理解を求めて卸業者などを回った。生産者への仮渡し金を引き上げたうえ、卸向けの価格は60キロ1000円前後引き上げた。代表的な銘柄米の新潟産コシヒカリの場合、前年より1200円高い60キロ1万7000円となった。量販店店頭でも新潟コシは5キロ2400―2500円台が中心で、乱売で急落した昨年のような1980円といった安値はみられない。

今年産の米価は下落が予想されていた。作付面積を前年より10万ヘクタール減らす目標に対し、実際の削減は約4万5000ヘクタールにとどまった。また作況指数は10月中旬時点で102の豊作。政府は需給対策として10万トン前後の備蓄米買い入れを決めた。34万トンを買い入れた昨年産のような値上がりを見越して、生産者には売り控えの動きもみられる。

さらに全農は公設のコメ価格センターへの上場を見送り続け、今年産の主食用米の指標価格が見えない状態だ。「顔の見える取引」を重視するとしているが、業界では「豊作基調で安値がつくのを避けるため」との見方が根強い。大手コメ卸会社の幹部は「現在の米価は作られた価格」と苦々しげに語る。

ただ景気の先行き不安が強まるなか、消費者の節約志向は強まっている。量販店は店頭で5キロ2000円以下にできる低価格米の調達を増やし、銘柄米の売れ行きは「新米の手当てが一巡した10月後半からペースダウンした」(卸会社)。JA全農にいがたは卸会社向けの販売基準価格を引き下げることを決めた。

「コメ回帰」がいつまで続くかも微妙だ。総務省の家計調査による2人以上世帯のコメ購入数量は7月から3カ月続けて前年実績を下回っている。今年前半のコメ消費増はパンなど小麦製品の値上げという「敵失」によるもの。不透明な価格形成が続けば消費者や需要家の不信を招き、消費減というしっぺ返しを食う可能性は否定できない。

2012年7月10日火曜日

技術者派遣、堅調維持も独歩高

人材派遣や人材紹介の市場で家電製品などの設計・開発を行う技術者の求人が堅調を維持している。景気悪化を背景に幅広い分野で採用抑制がじわじわと広がるなかで、唯一気を吐いている形だ。派遣料金をみても独歩高の様相だ。

技術者派遣最大手のメイテックによると、同社の派遣技術者の稼働率(実際に派遣先で就業している人の割合)は8月現在、95.9%(関連2社分含む)と前月比0.8ポイント上昇。上昇は4カ月連続で、ほぼフル稼働状況が続いている。

景気悪化の影響で製造業の間では生産調整に伴ってライン工などは削減される傾向となっている。だが、「将来の商品戦略のカギとなる設計開発部門は手厚く人材配置するところが大半」(メイテック)という。

スタッフサービス(東京・千代田)では派遣スタッフとなる技術者の採用拡大を目指して10月1日から専用の採用サイトを大幅刷新。技術分野や勤務地などで従来より検索しやすくした。同社では約4000件の求人案件が寄せられているが、「人材確保が追いつかず2―3割程度しか対応できていない」(スタッフサービス)という。

企業へ請求する派遣料金も設計開発技術者の場合、首都圏で1時間当たり3000―5000円程度と1年前と比べて3―5%程度上昇。一般事務職の時給が2100―2500円程度で伸び悩んでいるのに対して、高水準が際立つ。

人材紹介最大手のリクルートエージェント(東京・千代田)に寄せられた8月末の中途採用求人数は全業種で前年同月末比11.7%減の8万3406人と2カ月連続で前年を下回ったが、技術者を中心とする「電気・電子・半導体・機械」向けでは2万5638人と0.9%増となった。「金融」や「建設・不動産」向けが3割強の大幅減となったのと対照的だ。

派遣や中途採用での技術者の求人が堅調なのは、学生の理系離れを背景に新卒採用が難しくなっていることがある。また、家電メーカーなどの間では少量多品種生産や新製品開発サイクルの短期化で、設計開発部門の業務が増大。薄型テレビの分野では今年に入ってソニーなどが生産を一部台湾へシフトするなど、低価格化戦略を打ち出した。だが、設計部門は国内が中心。開発は国内、製造は海外でといったケースが広がっていることも国内での技術者の需要を支えている。

不況でも売れる商品の条件は何か。安いこと。そして、消費者の物欲を刺激する何かを備えていること。その“何か”を生み出すためにも若い感性を持った技術者を多く抱えておきたい。まずはヒトから。そんなメーカーの思惑が、技術者の求人の根強さの背景に透けて見える。

2012年7月8日日曜日

バルチック指数急落、新興国向け輸送需要停滞

鉄鉱石や石炭、穀物などを運ぶばら積み船運賃の国際指標、バルチック海運指数(BDI、1985年平均=1000)が急落している。8日現在で前日比158ポイント(5.4%)下がり2764。これは2006年6月以来2年4カ月ぶりの低水準で、今年5月の高値に比べ8割弱も下がった。これまでばら積み船市況をけん引していた中国など新興国向け輸送需要が停滞していることが響いている。

米国向けのコンテナ船輸送は、昨年末からすでに失速していたが、その後も新興国向けの荷動きはばら積み船主体に堅調を持続。外航海運全体でみると、新興国向け需要の拡大が不動産不況に苦しむ米国向け失速を補う「デカップリング(非連動)」の構図が成り立っていた。ところが8月以降、新興国(中国)への鉄鉱石の荷動きに急ブレーキが掛かり、外航海運におけるデカップリング論は力を失った。

海運業界全体のムードはすでに楽観から悲観に変わっている。こう感じさせるのは、船主の建造・購入意欲が鈍化していること。世界的な需要拡大を当て込んだ建造・購入ラッシュが続いていたが、明らかに勢いがなくなってきた。

鉄鉱石などを運ぶケープ型(15万トン級)を例にとると、新造船の単価は今年8月には1隻9850万ドルの史上最高値を付けていたが、現在は約3%安い9600万ドル程度に下がった。中古船の売買価格に至っては、1億3400万ドル程度と8月に比べ14%下落。新造船、中古船とも02年後半から続いた上げ基調は完全に一服した。

ばら積み船では米国発の金融危機が下げを増幅させている面もある。運賃先物市場に入っていた投機資金が流出し、バルチック海運指数の下落を加速させた。この数年の外航海運市況の高騰局面では、明らかに投機的要素が相場を押し上げていたが、すでにこれまでの急落でこうした部分はほとんどはげ落ちたとみられる。今後の海運市況は需給をベースに適正水準を探る展開となりそうだ。

2012年6月14日木曜日

段ボール原紙、値上げ満額決着

王子板紙やレンゴー、日本大昭和板紙など板紙各社が打ち出していた段ボール原紙の値上げが、メーカー側の要求通り10月から1キロ10円の引き上げで決着した。板紙各社の周到な準備で値上げを進めた結果だ。

段ボール原紙は、2001年に10円、03年に5円、06年に5円、07年に7円と、いずれもメーカー側が満額の値上げで押し切ってきた。王子、レンゴー、日本製紙本社グループの3グループでシェア7割を握る寡占体制が武器になった。

今回の10円は、01年以来の大幅な値上げ。メーカー各社が9月20日―10月1日出荷分からの引き上げに対し、打ち出しを従来より1カ月ほど早め、3カ月前から値上げ要請を開始した。「原紙値上げが満額通ることを前提に、段ボールメーカーがその先のユーザーに価格転嫁する準備を進めて欲しいとの狙いがあった」と大手板紙メーカー幹部は語る。

従来より1カ月間ながくなった交渉期間を使って、板紙各社が力を注いだのが飲料や食品メーカーなど大口需要家向けの交渉だ。これまでの値上げでは、まず中小企業が多い段ボール専業メーカー向けの交渉を先行し、その決着によって大勢を固めてから大口需要家の交渉に入るのが通例だった。今回は、段ボール専業メーカーから「大口需要家向けも、段ボール専業メーカー向けも同時に決着するのが筋」との声が強まり、板紙メーカーも大口需要家向けの交渉に本腰を入れざるを得なくなった。

交渉の難航が予想された大口需要家も、飲料メーカーなどが9月中に値上げを受け入れ、満額浸透の流れができた。「値上げ幅の圧縮を狙って、何度も交渉を重ねたが、板紙メーカーが10円の引き上げで一歩も引かず、受け入れなければ安定供給に支障が出てきかねないと判断した」と大手食品メーカーの購買担当者は話す。

値上げが決着したばかりの段ボール原紙だが、今後、価格が維持される保証はない。価格引き上げの主因となった古紙価格が弱含んでいるうえ、原油価格も下落しているためだ。古紙はここ数年、中国向けの輸出増加で、価格も急上昇していたが、10月に入り、世界的な景気減速による需要減で現地価格が急落している。段ボール古紙の輸出価格はすでに国内価格を下回っており、今後、国内価格が引き下げられる可能性がある。

需要家側は「値上げの根拠である古紙や重油価格が変化すれば、値下げ要求することもありうる」(大手飲料メーカー)との姿勢だ。古紙価格が大きく下がれば、段ボール原紙についても値下げ圧力が高まるだろう。

2012年6月13日水曜日

金、底堅さの背景に「通貨」需要

米欧の金融危機が深刻化して以降、貴金属の金は「安全資産」として再注目されてきた。価格が変動して元本割れとなるリスクがつきまとうため実際には安全資産とは言い切れないが、株や債券、原油など他の資産よりも投資家の「買い安心感」が強いことは事実。その背景には、金の通貨としての性質がある。

ニューヨークの金先物(期近)は5日終値が1トロイオンス741.3ドル。リーマン・ブラザーズが経営破綻した9月15日時点と比べて5%安の水準にとどる。一方、原油やトウモロコシ、銅といった他の国際商品をみると、同期間の下落率は30%を超えている。

米欧の金融危機で世界経済への不安が台頭し、株や債券と違って無価値にならない金の需要が高まったことが相場を下支えしている。ただ、無価値にならないという特徴は原油など他の商品にも共通する。そのなかで金が目立って底堅いのは、通貨としての性質から、景気後退局面でも価値の目減りが少ないとみられているためだ。

金本位制が崩壊して久しい現在でも、金は各国中央銀行の預金準備の一部を構成している。最大消費国インドなど発展途上国では、金融市場にアクセスする手段を持たない人々が「タンス預金のようなもの」(商社)として購入する事例が多い。宗教や国家の色彩を帯びていないこともあって、金は「無国籍通貨」とも呼ばれている。

一方、金以外の商品は通貨として需要されることはまれで、何かに使う目的で買われるケースが圧倒的に多い。例えばプラチナは需要の半分以上が自動車排ガス触媒向けだ。こうした商品は景気変動に需要が大きく左右されるため、現在のような景気後退局面では相場水準を大きく下げやすい。

欧米の経済不安は直ちに収まる気配はなく、ドルやユーロといった主要通貨への信認が揺らぐ状況もしばらく変わりそうにない。頼れる通貨がないゆえに、無国籍通貨としての金需要は根強い状況が当面は続き、相場を下支えすることになるだろう。

2012年5月18日金曜日

右翼団体との「番組トラブル」

しゃべくりの名手といわれる島田神助の引退会見から一夜明けた24日(2011年8月)、マスコミや芸能界、そして街角でも「残念だ」「寂しい」などと同情の声が溢れた。その一方で、「すべて正直に話します」(島田)と言いながら、語らなかった核心部分がボロボロと出てきている。その中身をみると、やっぱり「ダメ」というほかない。

元プロボクサー渡辺二郎と山口組系極心連合会会長

紳助が語らなかった1つめ。知人AとAを介して助けられた暴力団関係者Bについて。Aは元プロボクシング世界王者の渡辺二郎被告(56)=恐喝未遂で懲役2年の実刑判決を受けて上告中=だったことがはっきりした。スポーツ報知によると、島田は引退会見直後に渡辺へ「会見はどうでしたか」と直接電話。これに渡辺は「立派な会見だったと思う」と答えたという。

紳助が「真っ白な一般人」とかばう渡辺は、大阪市内で1999年に起きた男性射殺事件で使われた拳銃を譲り渡したとして銃刀法違反の罪に問われており、グレーどころか真っ黒に近い。紳助は情状証人として出廷し、涙ながらに「刑の軽減」を訴えている。

暴力団関係者Bは指定暴力団山口組の最高幹部の一人で、大阪に本拠を置く極心連合会会長だ。警察が05年に競争入札妨害容疑でこの会長を逮捕し自宅を家宅捜査した際に、紳助が会長宛てに出した直筆の手紙や会長の親族と一緒に写った写真が見つかっている。

オンエアしないはずが流れてしまった

しゃべらなかった2つ目。10数年前に紳助が手に余りこの会長に助けてもらったトラブルとは、関西テレビ制作のテレビ番組だった。当時、同じ番組に出演していた大谷昭宏(ジャーナリスト)がこう証言する。


「オンエアでは流れないと思っていた収録の話が、実質的にはオンエアになった。その中身は、右翼団体を刺激する(紳助の)発言で、それがもとで脅迫的な言質や街宣を受ける事態に発展し悩んでいた。それを手早く処理していただきお付き合いが深まった」


紳助を守らなかったテレビ局の不甲斐なさには呆れるし、紳助にも同情の余地はあるが、「行列のできる法律相談所」(日本テレビ)で弁護士と渡り合っている番組司会者が、暴力団に助けてもらっていては…。

松尾貴史は擁護論「なかなか断ち切れない」

さて、スタジオのコメンテーターの反応は―。紳助と何度も共演したことがあるタレントの松尾貴史は、「知り合いの知り合いはどうするかなど、反社会的団体とのお付き合いの線引きはすごく難しい。ましてトラブルを解決してもらったことがあると、なかなか断ち切れない」と擁護する。しかし、テレビ朝日社員の玉川徹ディレクターはつぎのように話す。


「ヤクザ社会はメディアがある種のロマンを持ってドラマ化したり、悪い社会ではないのではという人もいっぱいいる。直接、接触がないからだが、現実には暴力があり、その暴力に泣いている人もいる。そういう許されない組織だということを再認識する必要がある」

2012年5月16日水曜日

政府は原発事故の自前衛星画像出さず。

災害監視を目的に掲げる衛星を保有する日本政府が、福島第1原発事故の状況を撮影した米国の商用衛星の画像を3609万円もかけて購入していた―。しかも購入の理由は、情報収集衛星の画像情報を公開したくないためであることが、日本共産党の吉井英勝衆院議員の質問主意書に対する答弁で21日までに明らかになりました。

情報収集衛星は「大規模災害などへの対応」と「安全保障」を名目に導入された事実上の軍事偵察衛星。内閣官房が運用し、撮影データを防衛省などが利用しています。政府が購入した複数の画像です。日立ソリューションズなど日本の代理店を経由して購入したのは米国の商業衛星「ワールドビュー2」(分解能50センチメートル)などで事故の状況を撮影した金額は計3608万5770円でした。

吉井議員は、情報収集衛星を運用していながら、わざわざ画像を購入することは「秘密について保全措置を講じる者以外には非公開」と説明。購入理由について、東日本大震災への対応にあたって「保全措置を講じている者以外に対して衛星の画像を提供する必要があった」からだと回答しました。

また、主意書は、情報収集衛星を運用する内閣衛星情報センターの初代と3代目の所長が、いずれも防衛省(庁)情報本部長を退職後に所長として就任したのに対して、政府は「所長人事は適材適所の観点から行っている」と回答しました。吉井議員が、同センターが「諜報(ちょうほう)活動の組織・施設であることを象徴していると考えられる」と批判した問題も取り上げました。

2012年5月15日火曜日

急反落する原油と穀物 投資マネー一斉に引き揚げ

原油と穀物の国際価格が急反落している。ニューヨーク原油先物市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油価格は7月に過去最高値の1バレル147ドル台を付けたが、3カ月余りで半値以下になった。シカゴ先物市場の小麦と大豆もそれぞれ今年2月と7月に付けた過去最高値の半値以下だ。

相場が過去最高値まで上昇した理由としてファンドなどの投機資金の商品市場への流入がある。世界的な低金利と金余りで株や債券などの金融市場で運用されていた投資資金がより高い利回りを求めて商品市場に流れ込んだ。

市場推計では世界の原油先物市場の規模は10兆円強。株や債券に比べて100分の1以下だ。金融市場からの資金流入で商品価格は急騰。それが値動きに追随して買い注文を入れるシステム取引の買いを誘ったと指摘されている。

反落のきっかけは、米政府が商品への投機的な売買への監視と規制を強化する方針を打ち出したこと。ファンドの持ち高の制限や報告義務の強化などが主な内容だ。

規制強化を嫌って資金の流入が細ると商品相場は急速に高値を修正した。さらに9月15日に米大手証券のリーマン・ブラザーズの経営が破綻。米国で金融危機が深刻化する。商品高騰の主役だった投資銀行は経営危機に陥り、換金のため商品市場から一斉に資金を引き揚げた。それが10月以降の商品相場の急落に拍車をかけた。

商品市場では金融危機が世界的な景気減速につながり実需の足を引っ張るのは確実との見方が増えている。当面、商品相場は下値を探る可能性が高そうだ。

2012年5月12日土曜日

モノを買わない中国・石化製品にも波

中国の実体経済の停滞は、多くの産業分野の取引現場で大きな影響をもたらし始めた。自動車や家電、日用雑貨まで幅広い用途がある石油化学の市場も例外ではない。

「来年2月の旧正月明けまでは回復しないかもしれない」。大手商社の中間原料の輸出担当者はこうため息を漏らす。今年の6月ころからから中国の需要が急速に落ち込み始め、4カ月がたった現在でも「回復の兆しがまったく見えない」というのだ。
 
原因は大きく2つある。まずは、今夏の北京五輪に向け前倒しで膨らんだ需要の反動が現れたことだ。道路のアスファルトの下にポリスチレンを敷くなど、インフラ絡みの需要も大きかった。個人消費も同様に五輪前に息切れしたようだ。

さらに大きな要因は米国を始め、世界景気の悪化だ。「世界の工場」と呼ばれる中国の生産活動は、当然、米国や欧州、日本などの景気の影響を受ける。特に昨年からの米景気の失速が効いている。現在の金融危機の広がりを見れば、当面は景気浮揚は望めそうにない。

実際、9―10月は米国のクリスマス商戦向けに石化製品などの素材の需要が高まる時期。11月に船積みして商戦に間に合わせるためだ。だが、玩具に使う塩化ビニール樹脂なども「ほとんど引き合いがない」(大手商社)状態だ。

最近の原油安で石化製品の価格は大きく値下がりしている。例えば、包装用フィルムなどに使うポリプロピレン樹脂の東アジア地区の価格は現在、1トン1330ドル(中心値)とピーク時の7月に比べ35%も安い。他の製品価格も同様の傾向を示す。

安い時に在庫を積み増し、上昇したら売って利ザヤを稼ぐトレーダーが活発に買いを入れてもいい価格水準だが、動きはない。

中国の変調が長引けば、日本の化学メーカーにも影響が及ぶ。一段の減産を迫られたり、輸出価格の下落で採算が悪化したりする可能性がある。今まで以上に中国経済の動向を注視する必要がありそうだ。

2012年4月25日水曜日

読者の反響 「世の中から取り残される」。

連載「生活ドキュメント 買い物難民」(2日~12日)に対し、手紙やファクス、電子メールなどで60通以上の反響が寄せられた。「自分も買い物に苦労している」「将来が不安になった」という声が多く、商店街の衰退や大型店の撤退などで、各地でこの問題が深刻化している状況が浮かび上がった。家売り苦渋の転居/商店主「宅配浸透せず」 近所に商店がなく水戸駅前まで買い物に来る85歳の女性は「バスのステップを上るのも一苦労」と話していた(水戸市内で)

福島県いわき市で息子と暮らす女性(68)は「私も買い物難民の一人」とつづり、ファクスで送ってきた。最寄りのスーパーまで歩いて約30分かかる。帰りは上り坂で、荷物を載せた自転車を押すのは負担だ。道も狭く、大型車の風圧にあおられ自転車ごと転倒したこともある。

「いつか大けがをするかも」と1年前から、行きにバスを利用するようになった。1日数本しかないため、帰りはタクシーを使うことが多い。出費を抑えようと買い物は週1回に減らした。息子は仕事が忙しく、めったに一緒に買い物には行けない。「買い物の苦労だけでなく、自分が世の中から取り残されつつある、と感じるのがつらい」という。

神奈川県山北町の女性(82)からは「私と同じように苦労している人が多いんだな、と痛感した」との手紙が届いた。自宅近くのスーパーが5年前に閉店。電車を乗り継いで1時間以上かけ、品ぞろえ豊富な小田原市まで買い物に向かう。

週2回の買い物を1回に減らしたので荷物が増えた。乗り換え駅はエレベーターがなく、買い物カートを引きずるようにして階段を上っている。「ひざも痛むし苦痛です。まだ元気だから出かけられるが、この先はどうなるか。近くに店さえあれば安心なのですが」とため息をつく。

買い物などの苦労を理由に、転居した人もいた。連載でも取り上げた埼玉県日高市の分譲住宅地「こま武蔵台」在住だった男性(80)。「家を売却し、今年3月東京都西東京市の賃貸マンションに移り住んだ」とはがきを寄せた。

「こま武蔵台」では、スーパーや銀行が次々に撤退。買い物などに車が欠かせなくなった。「いずれ運転できなくなったら、生活できない。地域に愛着はあるが、仕方ない」と、苦渋の決断を語った。連載では、高齢者らの買い物を支援する取り組みも紹介したが、そうした活動の難しさを指摘する声も目立った。

「ここ数年、シャッターをおろした店が目立つようになった。活性化のため地元の商店で無料宅配サービスを始めたのですが、なかなか住民に浸透しません」とファクスを寄せたのは、大阪府泉南市で園芸店を営む籔美紀さん(41)。

市の補助金も得て2004年に始まった事業で、電話注文を受け市内なら無料で配達する。しかし、利用者は伸び悩み、参加する85店のうち実際に受注があるのは半数程度。

ある青果店主は「少額の品をタダで届けてもらうのは気が引ける」と客に言われ、はっとした。「客と店の関係が希薄なのも利用が伸びない一因」と話す。ほかの商店主も「なじみ客が減っている。PRに向け、顔見知りを増やす工夫が必要」と指摘する。

参加店代表の殿谷忠正さん(61)は「高齢化が進み、今後ますます宅配サービスは必要とされる。地域密着の取り組みを続けたい」と話した。ほかの地域でも、買い物支援の継続に苦労しているケースがあった。行政も巻き込みながら、地域全体で対策を考えていく必要がありそうだ。

2012年4月20日金曜日

天然ゴム市場、24時間取引化に反対の声

国内最大の商品取引所である東京工業品取引所が来年5月に予定している取引の24時間化。これに異論を唱える声が天然ゴムRSS3号先物市場であがり始めている。
 
天然ゴムは上場品目の中で唯一、東工取の先物相場が国際指標になっている商品だ。原油ではニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物相場、金ならばロンドンの自由金市場の金塊現物相場、非鉄はロンドン金属取引所(LME)の先渡し相場。海外で指標が形成され、東工取市場ではおおむねその流れを映した動きになる商品がほとんどの中、天然ゴムの存在は異彩を放つ。

東工取市場はゴム輸入業者が多数参加していた旧東京ゴム取引所市場の流れをくむ。ヘッジ(保険つなぎ)の場として国内現物筋の参加は多く、タイの現物取扱業者やシンガポールの仲介業者も積極的に取引する。最近は欧米のファンド筋の利用も目立つ。多様な市場参加者による取引が指標としての信頼を高めている。

ただ、ある商品先物取引会社は「その多様性が24時間化では逆にあだとなる」と指摘する。現在も東工取市場で運用を行う、特に欧米を中心とした海外の市場参加者による取引が今までのような東工取時間に集中するのではなく、散らばってしまう可能性があり、「市場が間延びすることで、指標性を保てなくなるかもしれない」と危惧する。もし、東工取が指標市場という魅力を失えば、ヘッジ玉は別の市場へ移ってゆく可能性も否定できない。

東工取の総売買高は2003年から07年までに46%減った。08年もさらなる減少が確実視される。12月1日から株式会社となった東工取にとって営利追求の観点から、来年以降これ以上の売買低迷は避けたいところだ。

10月の天然ゴムの売買枚数は東工取上場商品の中で金、金ミニに次ぐ。東工取にとって天然ゴム市場の参加者は無視できない存在感を持つ。そこから投げかけられた24時間取引化への疑問符に東工取がどのように答えてゆくのか。市場の注目が集まっている。

2012年4月18日水曜日

「3K不況」に突入した鉄鋼業界

鉄鋼業界が「3K不況」に突入した。「金融」不安で輸出が急減する一方、国内では「建設」の不振に「車」の減産が需要を先細りさせる。衝撃の度合いは日産自動車が調達先を絞った1990年代後半の「ゴーン・ショック」を上回りそうだ。

いち早く需要が鈍ったのが建設分野。昨年の改正建築基準法の施行に加え、鋼材高と住宅市場低迷が需要を冷やした。

10月からは好調だった輸出にブレーキがかかる。根底にあるのは金融不安。米金融機関の資金引き揚げで新興国が自国通貨安に陥り、輸入抑制の動きが広がった。日本の鋼材輸出は「新規商談が成立しない」(東京製鉄)異常事態だ。

先行きの最大不安要因は自動車の失速だ。鉄鋼メーカーは自動車用の鋼材価格を他用途より低く抑えてきた。他業界からは「自動車優遇」とうらやむ声が聞かれた。

その自動車各社も減産のアクセルを踏み込んだ。若者の車離れはガソリン価格が下がっても変わらず、軽自動車シフトが進めば1台当たりの鋼材消費は落ちるとみるのが自然。ゼネラル・モーターズ(GM)に至っては米国が救済できるのかどうかすら分からない。

鉄鋼メーカーは「中級・高級品の価格は需給だけでなく、商品価値や顧客への提案力を勘案して決まる」(新日本製鉄)と強調する。だが高い車や住宅が売れない時代がくれば、高級鋼材も多く売れないかも知れない。過去の成功体験にこだわっている余裕はない。