2012年5月16日水曜日

政府は原発事故の自前衛星画像出さず。

災害監視を目的に掲げる衛星を保有する日本政府が、福島第1原発事故の状況を撮影した米国の商用衛星の画像を3609万円もかけて購入していた―。しかも購入の理由は、情報収集衛星の画像情報を公開したくないためであることが、日本共産党の吉井英勝衆院議員の質問主意書に対する答弁で21日までに明らかになりました。

情報収集衛星は「大規模災害などへの対応」と「安全保障」を名目に導入された事実上の軍事偵察衛星。内閣官房が運用し、撮影データを防衛省などが利用しています。政府が購入した複数の画像です。日立ソリューションズなど日本の代理店を経由して購入したのは米国の商業衛星「ワールドビュー2」(分解能50センチメートル)などで事故の状況を撮影した金額は計3608万5770円でした。

吉井議員は、情報収集衛星を運用していながら、わざわざ画像を購入することは「秘密について保全措置を講じる者以外には非公開」と説明。購入理由について、東日本大震災への対応にあたって「保全措置を講じている者以外に対して衛星の画像を提供する必要があった」からだと回答しました。

また、主意書は、情報収集衛星を運用する内閣衛星情報センターの初代と3代目の所長が、いずれも防衛省(庁)情報本部長を退職後に所長として就任したのに対して、政府は「所長人事は適材適所の観点から行っている」と回答しました。吉井議員が、同センターが「諜報(ちょうほう)活動の組織・施設であることを象徴していると考えられる」と批判した問題も取り上げました。