2012年12月25日火曜日

生殖技術を行なった医療行側の胎児情報の利用

次から次へと開発される不妊治療用新技術。そのうち日本では、「同じ血をわけだ子どもを欲しがる」社会的傾向が強い。女性たちも、その傾向に激しくゆさぶられている。したがって、新技術の試行を希望する女性も多い。私は、医療新技術を頭から否定してはいない。しかし、不妊女性に行なわれる不妊治療という名の生殖技術は、まだまだ不明部分が多く、まるで「人体実験」ではないかと危惧され、本当に大丈夫かと心配になるからだ。しかも、女性たちは不妊だとされると、新技術に対してお金を払い、身体を提供せざるを得ないような、つまり不妊治療希望者にならざるを得ないような気持ちにさせられてしまう。

マスコミ報道による革々しい成功例も、不妊女性を追いつめる。これでは不妊かもしれないと感じたら、本当にこのような不妊枝術を受けようかどうしようかと、きちんと自分の心の中を整理するひまもない。また胎児情報は、現在では、ハイテク技術によって以前と比べものにならないくらい豊富に収集できる。胎児情報を親となる二人がどのように選択するかは非常に難しい問題だから、別の機会に改めて論じたい。

ここでは当事者の親ではなく、生殖技術を行なった医療行側の胎児情報の利用に目を向けたい。それは高度の生殖医療技術でやっとやどった生命もおかしい?と思われれば、消されてしまう可能性が強いからである。(体外受精を受けた)ルイーズちゃんのは親のブウンさんは、ステスワトウ博士とエドワード博士にそうすべきだと判断した時は、人に中絶を受けると同意した文章までかかされたからだ。何よりも私は、自然の節理を踏み越えて道行する人為的介入には、大きな危惧を持っている。もっと公開の場できちんと議論して、そのすばらしさや危険性を考えるべきだと切望している。

これまで述べた方法を、すべて試みてもなお妊娠しなかった時、最後の切り札として登場したのが「代理け」である。(代理出産仁NHK、一九九〇年九月二日放映)では、アメリカにおける代理母ビジネスの現状と問題点、さらには日本への上陸の可能性などがリポートされ、大変衝撃的だった。この方法は、つまり今までに開発された不妊治療法を、了どもをのぞむ夫婦が他の第三者の女性の身体を借りて行なうものである。

「代理母」の方法には一一通りある。一つは、夫の精子には問題はないが、妻の方に問題がある場合で他の女性の子宮に夫の精子を人工授精して、妊娠し、出産してもらう方法である。この方法では、代理母の遺伝子が赤ちゃんに伝わる。一九L六年から、アメリカで行なわれているという。もう一つの方法は夫婦の精子と卵子を体外受精し、その受精卵を第三者の女性に移し、妊娠、出産してもらう方法である。妻の卵管や子宮に問題があって妊娠出産ができない場合に行なわれる。

この場合は依頼人夫婦の遺伝子を引きついでおり、金髪の白人女性が、日本人の特徴を持つた赤ちゃんを産むこともできる。いま、日本人に注目されているのはこちらの方法である。もちろん、どちらの場合も依頼人は代理けに報酬(約一万ドル、もちろん仲介業者などへの支払い料金は別)を支払い、赤ちゃんは依頼人夫婦のものとなる。「代理出産」をみた時、「この放映によって日本人の不妊夫婦がアメリカにまで行って子作りするようになるんだろうか」と深い溜息がでた。現在、日本ではこの方法は行なえないからだ。日本産科婦人科学会の「見解によれば、体外受精は正式の夫婦に限り、受精卵はその妻に返すと定められている。