2014年4月17日木曜日

中国の指導者の特徴

重工業化のほうは、うまく実現されたのであろうか。中国が実現した重工業化の量的実績にはたしかにみるべきものがある。ちなみに、機械、金属、化学の三部門の生産額の工業総生産額に対する比串を重工業化串とすると、開発途上国のなかでこの4率を顕著な速度で高めた代表国は、韓国である。

中国の同比率を韓国のそれと比べてみると、少なくとも一九八〇年までは前者の方が後者を上まわっていた。一九八〇年の一人当たり所得水準は、韓国が一六三〇ドルである一方、中国のそれは三〇〇ドルに過ぎなかったのである。この数値にあらわれる発展段階格差にもかかわらず達成された中国の重工業化率には、いちじるしいものがあった。

中国の指導者は、重工業化の実現に威信をかけ、ともかくもその量的拡大に向けて「冒進」する傾向をつねにもっていた。一五年でイギリスの粗鋼生産量に追いつくことが大躍進期に標榜され、一九七八年の経済発展一〇ヵ年計画では、今世紀中に先進国水準に達するという目標を表明した。

そうした指導者の「冒進」傾向は、中国のような「集権的・物量的」計画経済のもとにあっては、重工業部門の投資規模を極限にまで押し上げていく傾きとなってあらわれた。すなわちこの社会においては、国家主管部門が国営企業に対して鉄何トン、綿花何トンといった「物量」であらわされた指令制目標を「下達」する一方、この指令制目標の達成に要する原材料、エネルギー、機械・設備、労働者の賃金は、そのすべてが国営企業の主管部門から供給されるという、「集権」的計画のもとにあった。