2015年11月9日月曜日

証券化を定義するのは至難

証券化を定義するのはいまだ至難ではあるが、ユーロ市場では次のような実体を表現するのに使われている。シンジケート・ローンからボンドへと資金調達市場の大勢が移行してきたこと、相対型金融または間接金融から直接金融化への流れ、FRN市場の拡大、ローンと債券の混合型金融商品の出現、銀行融資の流動化、商業銀行の投資銀行化またはマーチャント・バンキング化への傾斜が激しくなる、あらゆる金融取引形態が市場性をもつ有価証券の相互売買方式へと変化してゆく、ユーロ・ノート発行の増加、米国型のCPが大規模にユーロ市場の主要商品化する、短期金融市場と中長期資本市場との境目が曖昧化してくる、等々の現象を一元的に把握して、ユーロ市場における証券化と称しているのである。

元来、この語法や語感からいえば発生源は米国と筆者は想定している。米国では住宅抵当貸出しの証券化(抵当証券)や、自動車ローンやコンピューターリース料の債券化、さらに進んで銀行融資債権自体の転売や肩代りや銀行融資に代わって在来のCPが突然膨張しだしたという諸現象を米国におけるセキュリタイゼーションと称している。それがユーロ市場へ移転したわけである。現在のユーロ市場の動向は証券化の大きな波に揺られているので、この問題を簡単にふれておくことにしよう。