2012年5月18日金曜日

右翼団体との「番組トラブル」

しゃべくりの名手といわれる島田神助の引退会見から一夜明けた24日(2011年8月)、マスコミや芸能界、そして街角でも「残念だ」「寂しい」などと同情の声が溢れた。その一方で、「すべて正直に話します」(島田)と言いながら、語らなかった核心部分がボロボロと出てきている。その中身をみると、やっぱり「ダメ」というほかない。

元プロボクサー渡辺二郎と山口組系極心連合会会長

紳助が語らなかった1つめ。知人AとAを介して助けられた暴力団関係者Bについて。Aは元プロボクシング世界王者の渡辺二郎被告(56)=恐喝未遂で懲役2年の実刑判決を受けて上告中=だったことがはっきりした。スポーツ報知によると、島田は引退会見直後に渡辺へ「会見はどうでしたか」と直接電話。これに渡辺は「立派な会見だったと思う」と答えたという。

紳助が「真っ白な一般人」とかばう渡辺は、大阪市内で1999年に起きた男性射殺事件で使われた拳銃を譲り渡したとして銃刀法違反の罪に問われており、グレーどころか真っ黒に近い。紳助は情状証人として出廷し、涙ながらに「刑の軽減」を訴えている。

暴力団関係者Bは指定暴力団山口組の最高幹部の一人で、大阪に本拠を置く極心連合会会長だ。警察が05年に競争入札妨害容疑でこの会長を逮捕し自宅を家宅捜査した際に、紳助が会長宛てに出した直筆の手紙や会長の親族と一緒に写った写真が見つかっている。

オンエアしないはずが流れてしまった

しゃべらなかった2つ目。10数年前に紳助が手に余りこの会長に助けてもらったトラブルとは、関西テレビ制作のテレビ番組だった。当時、同じ番組に出演していた大谷昭宏(ジャーナリスト)がこう証言する。


「オンエアでは流れないと思っていた収録の話が、実質的にはオンエアになった。その中身は、右翼団体を刺激する(紳助の)発言で、それがもとで脅迫的な言質や街宣を受ける事態に発展し悩んでいた。それを手早く処理していただきお付き合いが深まった」


紳助を守らなかったテレビ局の不甲斐なさには呆れるし、紳助にも同情の余地はあるが、「行列のできる法律相談所」(日本テレビ)で弁護士と渡り合っている番組司会者が、暴力団に助けてもらっていては…。

松尾貴史は擁護論「なかなか断ち切れない」

さて、スタジオのコメンテーターの反応は―。紳助と何度も共演したことがあるタレントの松尾貴史は、「知り合いの知り合いはどうするかなど、反社会的団体とのお付き合いの線引きはすごく難しい。ましてトラブルを解決してもらったことがあると、なかなか断ち切れない」と擁護する。しかし、テレビ朝日社員の玉川徹ディレクターはつぎのように話す。


「ヤクザ社会はメディアがある種のロマンを持ってドラマ化したり、悪い社会ではないのではという人もいっぱいいる。直接、接触がないからだが、現実には暴力があり、その暴力に泣いている人もいる。そういう許されない組織だということを再認識する必要がある」

2012年5月16日水曜日

政府は原発事故の自前衛星画像出さず。

災害監視を目的に掲げる衛星を保有する日本政府が、福島第1原発事故の状況を撮影した米国の商用衛星の画像を3609万円もかけて購入していた―。しかも購入の理由は、情報収集衛星の画像情報を公開したくないためであることが、日本共産党の吉井英勝衆院議員の質問主意書に対する答弁で21日までに明らかになりました。

情報収集衛星は「大規模災害などへの対応」と「安全保障」を名目に導入された事実上の軍事偵察衛星。内閣官房が運用し、撮影データを防衛省などが利用しています。政府が購入した複数の画像です。日立ソリューションズなど日本の代理店を経由して購入したのは米国の商業衛星「ワールドビュー2」(分解能50センチメートル)などで事故の状況を撮影した金額は計3608万5770円でした。

吉井議員は、情報収集衛星を運用していながら、わざわざ画像を購入することは「秘密について保全措置を講じる者以外には非公開」と説明。購入理由について、東日本大震災への対応にあたって「保全措置を講じている者以外に対して衛星の画像を提供する必要があった」からだと回答しました。

また、主意書は、情報収集衛星を運用する内閣衛星情報センターの初代と3代目の所長が、いずれも防衛省(庁)情報本部長を退職後に所長として就任したのに対して、政府は「所長人事は適材適所の観点から行っている」と回答しました。吉井議員が、同センターが「諜報(ちょうほう)活動の組織・施設であることを象徴していると考えられる」と批判した問題も取り上げました。

2012年5月15日火曜日

急反落する原油と穀物 投資マネー一斉に引き揚げ

原油と穀物の国際価格が急反落している。ニューヨーク原油先物市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油価格は7月に過去最高値の1バレル147ドル台を付けたが、3カ月余りで半値以下になった。シカゴ先物市場の小麦と大豆もそれぞれ今年2月と7月に付けた過去最高値の半値以下だ。

相場が過去最高値まで上昇した理由としてファンドなどの投機資金の商品市場への流入がある。世界的な低金利と金余りで株や債券などの金融市場で運用されていた投資資金がより高い利回りを求めて商品市場に流れ込んだ。

市場推計では世界の原油先物市場の規模は10兆円強。株や債券に比べて100分の1以下だ。金融市場からの資金流入で商品価格は急騰。それが値動きに追随して買い注文を入れるシステム取引の買いを誘ったと指摘されている。

反落のきっかけは、米政府が商品への投機的な売買への監視と規制を強化する方針を打ち出したこと。ファンドの持ち高の制限や報告義務の強化などが主な内容だ。

規制強化を嫌って資金の流入が細ると商品相場は急速に高値を修正した。さらに9月15日に米大手証券のリーマン・ブラザーズの経営が破綻。米国で金融危機が深刻化する。商品高騰の主役だった投資銀行は経営危機に陥り、換金のため商品市場から一斉に資金を引き揚げた。それが10月以降の商品相場の急落に拍車をかけた。

商品市場では金融危機が世界的な景気減速につながり実需の足を引っ張るのは確実との見方が増えている。当面、商品相場は下値を探る可能性が高そうだ。

2012年5月12日土曜日

モノを買わない中国・石化製品にも波

中国の実体経済の停滞は、多くの産業分野の取引現場で大きな影響をもたらし始めた。自動車や家電、日用雑貨まで幅広い用途がある石油化学の市場も例外ではない。

「来年2月の旧正月明けまでは回復しないかもしれない」。大手商社の中間原料の輸出担当者はこうため息を漏らす。今年の6月ころからから中国の需要が急速に落ち込み始め、4カ月がたった現在でも「回復の兆しがまったく見えない」というのだ。
 
原因は大きく2つある。まずは、今夏の北京五輪に向け前倒しで膨らんだ需要の反動が現れたことだ。道路のアスファルトの下にポリスチレンを敷くなど、インフラ絡みの需要も大きかった。個人消費も同様に五輪前に息切れしたようだ。

さらに大きな要因は米国を始め、世界景気の悪化だ。「世界の工場」と呼ばれる中国の生産活動は、当然、米国や欧州、日本などの景気の影響を受ける。特に昨年からの米景気の失速が効いている。現在の金融危機の広がりを見れば、当面は景気浮揚は望めそうにない。

実際、9―10月は米国のクリスマス商戦向けに石化製品などの素材の需要が高まる時期。11月に船積みして商戦に間に合わせるためだ。だが、玩具に使う塩化ビニール樹脂なども「ほとんど引き合いがない」(大手商社)状態だ。

最近の原油安で石化製品の価格は大きく値下がりしている。例えば、包装用フィルムなどに使うポリプロピレン樹脂の東アジア地区の価格は現在、1トン1330ドル(中心値)とピーク時の7月に比べ35%も安い。他の製品価格も同様の傾向を示す。

安い時に在庫を積み増し、上昇したら売って利ザヤを稼ぐトレーダーが活発に買いを入れてもいい価格水準だが、動きはない。

中国の変調が長引けば、日本の化学メーカーにも影響が及ぶ。一段の減産を迫られたり、輸出価格の下落で採算が悪化したりする可能性がある。今まで以上に中国経済の動向を注視する必要がありそうだ。