2012年5月15日火曜日

急反落する原油と穀物 投資マネー一斉に引き揚げ

原油と穀物の国際価格が急反落している。ニューヨーク原油先物市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油価格は7月に過去最高値の1バレル147ドル台を付けたが、3カ月余りで半値以下になった。シカゴ先物市場の小麦と大豆もそれぞれ今年2月と7月に付けた過去最高値の半値以下だ。

相場が過去最高値まで上昇した理由としてファンドなどの投機資金の商品市場への流入がある。世界的な低金利と金余りで株や債券などの金融市場で運用されていた投資資金がより高い利回りを求めて商品市場に流れ込んだ。

市場推計では世界の原油先物市場の規模は10兆円強。株や債券に比べて100分の1以下だ。金融市場からの資金流入で商品価格は急騰。それが値動きに追随して買い注文を入れるシステム取引の買いを誘ったと指摘されている。

反落のきっかけは、米政府が商品への投機的な売買への監視と規制を強化する方針を打ち出したこと。ファンドの持ち高の制限や報告義務の強化などが主な内容だ。

規制強化を嫌って資金の流入が細ると商品相場は急速に高値を修正した。さらに9月15日に米大手証券のリーマン・ブラザーズの経営が破綻。米国で金融危機が深刻化する。商品高騰の主役だった投資銀行は経営危機に陥り、換金のため商品市場から一斉に資金を引き揚げた。それが10月以降の商品相場の急落に拍車をかけた。

商品市場では金融危機が世界的な景気減速につながり実需の足を引っ張るのは確実との見方が増えている。当面、商品相場は下値を探る可能性が高そうだ。