2016年2月8日月曜日

医療行為と流れ

医療行為は、生体の異常な流れを是正することを目的として行なわれるものであるが、生体にカテ上アルのような異物を装着することを伴うことも多い。この場合、治療の目的になっている疾患と直接の関係がない形で日和見感染症が生じることがある。これは、医原性疾患ということができる。こういう場合カテ上アルを取り除くだけで、感染症が自然消滅することもよくある。しかし、いうまでもなくこの場合、本来の治療の対象となっていた疾患に対する治療は中断される。

要するに常在微生物による日和見感染症は、健康な宿主生体が保有していると考えられる排除反応を、起こせない要因があるときに生じるともいえる。したがってこの要因を取り除けるかどうかが、日和見感染症の治療が成功するかどうかを決めている。

とくに病原体を異物として見た場合、身体が不要なものを体外に捨てる機構を、改めて排除反応として考えてみよう。たとえば、咳やくしゃみのような反射といわれるものや鼻汁や涙とか痰などは、病原体に限らず異物を除去しようという反応の産物である、と理解するのが自然である。

そしてこれらの排除反応が、感染症や伝染病の症状であることが多いのも当然である。宿主生体にとって異物でしかない病原体が増殖すれば、排除反応も強く起きて当然である。同時に伝染病の場合には、この反応が、病原体を新しい宿主へと受け渡すのに役立っていることにも注意すべきである。結局、患者の排除反応が感染環の成立に必須になる。