2015年7月8日水曜日

国際金融業務の実体

国際金融業務の実体は日々変動・発展する国際金融取引が中核であって、国際金融論は主体が取引実態の把握、その外側に歴史・制度・機構が位置する全体構成となっているからである。そのため、主要内容が変動するとともに、その内容の各部分の比重が時に応じて劇的に変化するからでもある。国際金融市場が第二次石油危機の混乱から徐々に脱して、順調に展開しはじめたかにみえた一九八二年の夏、突如として世界の国際金融市場を震憾させたのは、メキシコの債務支払い不能事態の発表であった。

原油価格が急激に引上げられても、産油国のふところに貯まったオイルーダラーを順調に世界市場に回転・還流させてゆくことができれば、結局は国際金融市場はうまく機能してゆくだろうという、一応の安心感がゆきわたった時に、メキシコ問題が勃発した。それは、あたかも天上の予定調和運動をふいに攬乱するかのように、発展途上国累積債務爆発が突発し、八二年八月以降、すべての先進国の銀行・金融機関は日夜、累積債務問題の悪夢にさいなまれるようになったのである。