2012年4月20日金曜日

天然ゴム市場、24時間取引化に反対の声

国内最大の商品取引所である東京工業品取引所が来年5月に予定している取引の24時間化。これに異論を唱える声が天然ゴムRSS3号先物市場であがり始めている。
 
天然ゴムは上場品目の中で唯一、東工取の先物相場が国際指標になっている商品だ。原油ではニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物相場、金ならばロンドンの自由金市場の金塊現物相場、非鉄はロンドン金属取引所(LME)の先渡し相場。海外で指標が形成され、東工取市場ではおおむねその流れを映した動きになる商品がほとんどの中、天然ゴムの存在は異彩を放つ。

東工取市場はゴム輸入業者が多数参加していた旧東京ゴム取引所市場の流れをくむ。ヘッジ(保険つなぎ)の場として国内現物筋の参加は多く、タイの現物取扱業者やシンガポールの仲介業者も積極的に取引する。最近は欧米のファンド筋の利用も目立つ。多様な市場参加者による取引が指標としての信頼を高めている。

ただ、ある商品先物取引会社は「その多様性が24時間化では逆にあだとなる」と指摘する。現在も東工取市場で運用を行う、特に欧米を中心とした海外の市場参加者による取引が今までのような東工取時間に集中するのではなく、散らばってしまう可能性があり、「市場が間延びすることで、指標性を保てなくなるかもしれない」と危惧する。もし、東工取が指標市場という魅力を失えば、ヘッジ玉は別の市場へ移ってゆく可能性も否定できない。

東工取の総売買高は2003年から07年までに46%減った。08年もさらなる減少が確実視される。12月1日から株式会社となった東工取にとって営利追求の観点から、来年以降これ以上の売買低迷は避けたいところだ。

10月の天然ゴムの売買枚数は東工取上場商品の中で金、金ミニに次ぐ。東工取にとって天然ゴム市場の参加者は無視できない存在感を持つ。そこから投げかけられた24時間取引化への疑問符に東工取がどのように答えてゆくのか。市場の注目が集まっている。