2014年6月6日金曜日

運動のすすめ

最大酸素摂取量の五〇%(軽く息かはずむ)程度の強さで四肢筋肉を使う動的運動(等張性運動)を週に四~五日続けると、最高、最低血圧ともに数ミリメーター水銀低下することが示されています。一日一五〇~二〇〇キロカロリーの運動により虚血性心臓病のリスクが減り、身体活動が多いグループは少ないグループに比べて高血圧症の発症が三五~五〇%少ないことも証明されています。このように習慣的な運動に血圧を下げる作用のあることは明らかです。

運動の種類には、動的運動(等張性運動)と静的運動(等尺性連動)の二つがあります。前者は、全身を使って行う律動的な筋肉運動で、歩く、走る、泳ぐ、サイクリングなど、ふつう運動といっているのが等張性運動です。後者は。筋肉を伸展、屈曲させずに力をいれる運動で、重量挙げやものを強く握るなどがこれにあたります。この等尺性運動は運動時の血圧上昇の程度が大きく、高血圧の人に好ましい運動ではありません。

福岡大学の荒川規矩男教授らは、運動中にとなりの人と話をしても息苫しさを感じない程度のゆるやかな運動(ふつうのジョギングより遅いペース)を週三回以上、毎日あるいは隔日に一回最低三〇分、可能ならば一時間程度行うと血圧が下がってくることを明らかにしています。運動時の脈拍数は毎分一〇〇~一一〇程度が目安になります。この程度の運動ならば、血液中の乳酸濃度が上がらず、強い疲労感もないはずです。

運動中は交感神経のはたらきが高まって血圧が上がりますか、運動を続けていると日常の血圧は低く維持されるようになります。運動の継続によって、血圧を下げる物質(降圧物質)であるプロスタグランデイン、タウリンなどが増え、血圧を上げる物質(昇圧物質)が減ることが示されています。合併症のない軽症、中等症の高血圧症の場合は、心臓などの必要な検査をおこない、運動が禁忌でない場合は、まずゆっくり歩くことからはじめて、だんだんとスピードを上げ、それを一生つづける心構えが必要です。