86年以降の円高不況の中で、雇用についてはかなり悲観的な見方が強まった。まず、雇用全体を見ると。失業率が上昇した。日本の失業率は低いことで有名だったが、87年5月には3.2%まで上昇した。日本もいよいよ高失業時代に入ったという議論も現われた。
生産現場だけでなく事務部門にまで及びはじめたマイクロエレクトロニクス技術革新が雇用機会を奪うのではないか、日本企業の海外への進出による。空洞化”が、国内の雇用情勢を深刻化するのではないかといった点も大いに心配された。労働組合が、賃上げより雇用機会の確保をという意識を強めてきたのもこの頃からであった。
また、マクロではある程度の雇用のレベルを維持できたとしても、ミクロのレベルでは労働力の需要と供給がすれ違うという、いわゆる「ミスマッチ」論もさかんに主張された。
その第一は、若年層と中高年層とのミスマッチである。日本は急速に高齢化社会に移行していくことが確実であることを考えると、もともと中高年層の雇用情勢が厳しいものとなることは予想されていたが、円高不況の中で、企業は中高年層をターゲットに雇用調整を始めたので、年齢別のミスマッチ現象はさらに目立つことになった。
第二は、都市部と地方との地域別にみたミスマッチである。地方では輸出型産業の生産が落ち込み、公共投資も抑制されていたから、都市部に比べて雇用情勢が悪化した。
第三は、産業別のミスマッチである。産業構造の変化により、造船、繊維などの「構造不況」産業では余剰労働力が発生する一方、サービス産業では雇用機会が拡大するといった動きが現われる。87年版の「労働白書」は、93年までに予想される経済構造の変化を達成するためには、第二次産業から二百万人以上が流出し、第三次産業に二百万人以上が流入する必要があると推計した。
第四は、職種別のミスマッチである。とくに、コンピュータ、情報、ハイテク関係の専門的職業分野で雇用機会が増大しても、職種転換はそれほど簡単ではないため、ミスマッチが目立つことになったのである。
こうして雇用について悲観的な見方が強まったのは、基本的にはすべて円高が原因であった。円高に対して企業は設備・雇用の調整による合理化にとり組んだ。その影響は相対的に労働コストの高い中高年層を中心に現われた。円高は産業構造を大きく変化させ、輸出依存度の高い素材型産業が立地する地域の雇用がとくに打撃を受けた。
産業構造の変化は労働需要の中味にも影響を与え、職種別のミスマッチが強まった、という具合である。しかし、これは日本経済が円高にまだ適応できない間に生じたことであり、その後、円高への適応が急速に進むにつれて、悲観的な見方は大きく変化することになる。
2015年3月9日月曜日
2015年2月9日月曜日
所得は高くても購買力は低い日本
それ以外の六費目については、おおよそ、対応している。このように費目の対応が二つのデーターセットで違う場合には、通常、費目分割が粗い方のデーターセットにあわせる方がよい。もし、粗い方のデータではなく細いデーターセットに合わせようとすると、それこそ、経済企画庁に行き、原データから集計し直さなければならない。そのようなことは経済企画庁にいる人でなければ到底できない作業である。
ここまでは経済分析が行われる際の地道な作業について書いたが、ここから内外価格差がどのようになっているのかを具体的な数字をあげて説明しよう。一九九四年の『物価レポート』によれば、東京の価格はアメリカ合衆国やヨーロッパのどの都市よりも高い。平均的に東京の価格はニューヨークの価格の一・四〇倍、ロンドンの一・四六倍、パリの一・二六倍、ベルリンの一・八倍にもなっている。
この数字は東京を一に直すと、ニューヨークでは〇・七一、ロンドンで〇・六九、パリで〇・七四、ベルリンでは〇・七二という値になる。このように平均的にみれば、東京の物価はアメリカ合衆国やヨーロッパの諸都市と比較して四〇%は確実に高いことになる。それでは個々の費目の価格についてはどのような価格差があるのだろうか。これを次にみよう。
表には『物価レポート』によって公表され、私か推定のために加工したデータがある。ここでは四つの都市について、八つの費目の東京との価格比較が行われている。この表の見方は、ニューヨークやヨーロッパ諸都市の当該費目の価格を一〇〇としたとき、東京の価格はいくらになるだろうという指数である。食料費の価格を比較してみると、ニューヨークを一〇〇とすると東京の価格は一・六倍、ロンドンと比較すると東京の食料価格は二・二倍、パリやベルリンと比較しても一・九倍も高いということである。このように東京の食料価格が他の都市と比較して二倍もするということは、経済原則から考えても、なにか市場に大きな異常があるとしか考えられない。
ここまでは経済分析が行われる際の地道な作業について書いたが、ここから内外価格差がどのようになっているのかを具体的な数字をあげて説明しよう。一九九四年の『物価レポート』によれば、東京の価格はアメリカ合衆国やヨーロッパのどの都市よりも高い。平均的に東京の価格はニューヨークの価格の一・四〇倍、ロンドンの一・四六倍、パリの一・二六倍、ベルリンの一・八倍にもなっている。
この数字は東京を一に直すと、ニューヨークでは〇・七一、ロンドンで〇・六九、パリで〇・七四、ベルリンでは〇・七二という値になる。このように平均的にみれば、東京の物価はアメリカ合衆国やヨーロッパの諸都市と比較して四〇%は確実に高いことになる。それでは個々の費目の価格についてはどのような価格差があるのだろうか。これを次にみよう。
表には『物価レポート』によって公表され、私か推定のために加工したデータがある。ここでは四つの都市について、八つの費目の東京との価格比較が行われている。この表の見方は、ニューヨークやヨーロッパ諸都市の当該費目の価格を一〇〇としたとき、東京の価格はいくらになるだろうという指数である。食料費の価格を比較してみると、ニューヨークを一〇〇とすると東京の価格は一・六倍、ロンドンと比較すると東京の食料価格は二・二倍、パリやベルリンと比較しても一・九倍も高いということである。このように東京の食料価格が他の都市と比較して二倍もするということは、経済原則から考えても、なにか市場に大きな異常があるとしか考えられない。
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